財務省が公表する「国有財産一件別情報」をもとに、全国の未利用国有地2,966件を地図レイヤーとして公開しました。位置特定の精度、簿価の扱い方、そして住宅メーカーから自治体まで実務でどう活きるかをご紹介します。
こんにちは、MAPRISE開発チームです。「国が保有したまま、使われていない土地が全国にどれだけあるかご存じでしょうか」と聞かれて、具体的な数字をすぐに答えられる方は多くないと思います。答えは2,966件です。
このたびMAPRISEでは、財務省が公表するオープンデータをもとに、この2,966件の位置と属性を地図レイヤーとして公開しました。

このデータは何か
出典は財務省「国有財産一件別情報(令和6年度)_普通財産」(e-Gov公開、CC BY)です。時点は令和5年度末(2024年3月末)のスナップショットで、対象は財務省所管・一般会計・普通財産のうち「未利用」区分とされているものです。
最初に誤解のないよう明確にしておきます。これは「今すぐ買える物件リスト」ではありません。国が保有している未利用地の棚卸しであり、実際に売却手続きに入っているとは限りません。掲載は現在申込が可能であることを意味しない、という点は本記事全体を通じてご留意ください。
財務局別の内訳は次のとおりです。
| 財務局 | 件数 |
|---|---|
| 関東財務局 | 1,674 |
| 東海財務局 | 231 |
| 近畿財務局 | 209 |
| 東北財務局 | 203 |
| 北海道財務局 | 199 |
| 中国財務局 | 163 |
| 福岡財務支局 | 102 |
| 四国財務局 | 80 |
| 九州財務局 | 73 |
| 北陸財務局 | 27 |
| 沖縄総合事務局 | 5 |
地図で何が見えるか
このレイヤーは、レイヤーメニュー「地番・開発候補(特定地域)」の中に「国有財産売却情報(財務省)」として置かれています。

トグルをオンにすると、地図上に緑色のマーカーが表示されます。マーカーには2種類あり、塗りつぶしの丸は「地番まで特定(実際の位置)」、中空の丸に薄い円が重なったものは「丁目・大字レベルまで特定(概略位置)」を示します。

正直にお伝えすると、全国2,966件のうち、地図上に位置を表示できているのは1,590件にとどまります。残り1,376件は、公表資料上の所在地が地番までの表記にとどまっており、地図上の位置を機械的に特定できなかったためです。分からないものを、分かったふりをして地図上に置かない——これは今回のレイヤーに限らず、MAPRISEが一貫して大事にしている設計の考え方です。
物件をクリックすると何がわかるか
地図上のマーカーをクリックすると、ポップアップで物件の詳細が表示されます。実際の画面がこちらです。

福岡県福岡市城南区茶山3丁目34番1の例では、所管財務局(福岡財務支局・本局)、土地面積(28,326.74平方メートル)、建物面積、都市計画区域・用途地域(市街化区域・第一種中高層住居専用地域)、建蔽率・容積率(60%/100%)などが確認できます。属性の記入率は、都市計画区域と用途地域が100%、建蔽率・容積率が93.6%です。
ここで1点、必ずお伝えしなければならないことがあります。ポップアップに表示される「簿価」は、売却価格ではありません。あくまで会計上の参考評価額であり、実際の最低売却価格とは別のものです。当社の検証では、過去に簿価と実際の最低売却価格が最大61%乖離した実例が確認されています。用地検討の初期段階における参考値の一つとして捉えていただき、実際の取引条件は必ず各財務局の公表原本でご確認ください。
全国の分布
全国での分布を見ると、地域による偏りがはっきり見えてきます。

首都圏には特に密集しており、関東財務局だけで全体の56%(2,966件中1,674件)を占めています。

関西圏にも一定の集積があります。

九州では、北九州市・下関市周辺にも点在が見られます。この分布そのものが、「国有地は全国に均等に存在するわけではない」という実態を、数字だけでなく地図として可視化しているといえます。
誰にとって便利か
住宅メーカー・工務店の方へ: 用地仕入れの現場では、募集が始まってから知るのでは、競争入札で出遅れてしまいます。将来売却され得る土地がどこにあるかを事前に把握できることは、仕入れ活動の先回りにつながります。用途地域・建蔽率・容積率が同じ画面で見えるため、建築可能性の一次判断もその場で行えます。
ディベロッパーの方へ: 開発適地を探す際、ハザード情報や地質、周辺の不動産取引価格と重ねて見られるため、単独の一覧サイトだけでは得られない判断材料が揃います。
金融機関の方へ: 担保評価や地域の不動産動向を把握する材料として、国有地の分布は地域の土地利用構造を映す一つの指標になり得ます。
不動産業者の方へ: 物件調査の際、周辺に未利用の国有地があるかどうかは、将来の周辺環境の変化要因として把握しておく価値があります。
自治体の方へ: 立地適正化や公共施設再編を検討する際、管内にどれだけの国有地があるかを俯瞰する材料として活用できます。
一般の方へ: 「自分の街に国の土地がどれだけあるのか」という素朴な関心からご覧いただくのも歓迎です。
MAPRISEならではの点
財務省の公表資料や、既存の集約サイトでも、こうした国有地の一覧自体は確認できます。MAPRISEならではの価値は、この一覧を単体で終わらせず、既存の50以上のレイヤーと重ねて見られる点にあります。用途地域・ハザード・周辺取引価格・人口推計・PLATEAU建物モデルなどと同一画面で突き合わせながら判断でき、分割画面での比較やAIチャットでの分析、PDFレポートの生成にもつなげられます。
今後の展開
いくつか検討している方向性があります。財務局が公表する「募集中」物件(現在141件)を重ねて表示することを検討しています。自治体が公表する公有地売却情報への対象拡大も検討課題です。また、現在1,590件にとどまっている位置特定の精度についても、改善に取り組んでいく予定です。いずれも現時点で確定した計画ではなく、具体的な時期をお約束できるものではありません。
出典・免責
本レイヤーは、財務省「国有財産一件別情報」を加工して作成しています。掲載内容はあくまで参考情報であり、最新かつ正確な内容は必ず各財務局が公表する原本資料でご確認ください。本レイヤーへの掲載は、その物件が現在申込可能であることを意味するものではありません。
表示範囲についてのご注意: 本レイヤーは、未ログインの状態では九州7県の物件のみを表示します。全国47都道府県の物件は、ログインしてご覧いただけます(β期間終了後は Starter 以上のプランが必要になります)。本記事に記載した件数は全国の収録件数であり、未ログインでご覧いただける件数とは異なります。
ご意見・ご質問は info@maprise.jp までお気軽にお寄せください。
本記事で紹介した国有財産売却情報は、財務省「国有財産一件別情報(令和6年度)_普通財産」(e-Gov公開、CC BY)を加工して作成しています。件数・内訳は令和5年度末(2024年3月末)時点のスナップショットに基づく本記事公開時点のものであり、今後の公表資料の更新により変動する可能性があります。業界別の活用可能性に関する記述は一般的な想定を示すものであり、個別の業務への適用可能性を保証するものではありません。
タグ: #国有財産 #財務省 #オープンデータ #不動産 #用地仕入
他言語のシェアテキスト (例外運用向け)
通常は上の Quick share をご利用ください (X 系は日本語、LinkedIn は英語に固定)。下の 4 ペインは「英語記事を X で日本語紹介したい」「日本語記事の LinkedIn 投稿を日本語で出したい」等の例外運用に使えます。各テキストはコピー編集してから投稿することも、そのまま投稿画面を開くこともできます。
📝 全国の未利用国有地2,966件を地図に載せました 財務省が公表する「国有財産一件別情報」をもとに、全国の未利用国有地2,966件を地図レイヤーとして公開しました。位置特定の精度、簿価の扱い方、そして住宅メーカーから自治体まで実務でどう活きるかをご紹介します。 https://maprise.jp/ja/blog/unused-national-property-map/ #国有財産 #財務省
🆕 新しいブログ記事を公開しました。 《全国の未利用国有地2,966件を地図に載せました》 財務省が公表する「国有財産一件別情報」をもとに、全国の未利用国有地2,966件を地図レイヤーとして公開しました。位置特定の精度、簿価の扱い方、そして住宅メーカーから自治体まで実務でどう活きるかをご紹介します。 👉 詳しくはこちら: https://maprise.jp/ja/blog/unused-national-property-map/
📝 We Mapped 2,966 Unused National-Owned Properties Nationwide Using open data from Japan's Ministry of Finance, we've published a map layer covering 2,966 unused national-owned properties nationwide. Here's h… https://maprise.jp/en/blog/unused-national-property-map/ #National-ownedproperty #MinistryofFinance
🆕 New on the MAPRISE blog. 《We Mapped 2,966 Unused National-Owned Properties Nationwide》 Using open data from Japan's Ministry of Finance, we've published a map layer covering 2,966 unused national-owned properties nationwide. Here's how location precision works, why book value isn't a sale price, and how this can be used in practice — from homebuilders to municipalities. 👉 Read the full post: https://maprise.jp/en/blog/unused-national-property-map/ #National-ownedproperty #MinistryofFinance #Opendata #Realestate #Landacquisition