MAPRISEでは、国のデータ公開を毎月みずから確認し、取得・検証・反映までを完結させるエージェントが動いています。あわせて、建物データについて「どこまで分かっていて、どこから先は仮定なのか」を明示する仕組み、地価公示データの全国47都道府県への拡大、24時間いつでも使える体制への移行についてもご報告します。
こんにちは、MAPRISE開発チームです。MAPRISEは、国・自治体が公開する数多くの公的オープンデータを取り込み、地図・AIチャット・PDFレポートという形でお届けしています。データの種類や対応地域を広げることと同じくらい大切にしているのが、そのデータが「今、どこまで正しいと言えるのか」を確かめ続ける仕組みです。今回は特定の新機能というより、このデータの「確かさ」を支える取り組みと、建物データの見方についてまとめてご報告します。
「わからないことを、わからないと示す」― 建物データの整備状況を開示
MAPRISEはPLATEAU(国土交通省が整備する3D都市モデル)を活用し、建物ごとに地震シナリオ別の倒壊確率を分析する機能を提供しています。この分析は、建物の構造種別・築年代というデータがあってはじめて精度が出るものです。では、そのデータが整備されていない建物については、どう扱うべきか。
私たちはProject PLATEAU事務局へ照会し、公式回答をいただきました(2026年8月5日受領)。あわせて事務局が公表している公式の「属性情報公開リスト」(基準日2026年3月31日)を取り込み、収録している自治体ごとに、構造・築年のデータがそもそも整備されているかどうかをシステムが把握できるようにしました。
その結果、構造・築年のデータが整備されていない都市の建物については、倒壊確率が「木造」「旧耐震基準(1981年以前)」という安全側の仮定に基づく参考値であることを、PDFレポート・AIチャットの回答・地図上のポップアップの3箇所で、日英両方の言語で明示するようにしました。実測データに基づく分析なのか、仮定に基づく参考値なのかが、利用者にとって一目で分かる形になったということです。
業務判断に使う情報だからこそ、「分かっていること」と「分かっていないこと」を区別して示すことには、数字そのものと同じくらいの意味があると考えています。
PLATEAU建物データ、3つの色分けモードの使い分け
地図上のPLATEAU建物レイヤーは、目的に応じて3つの色分けモードを切り替えられます。それぞれ見えているものが違うので、使い分けをご紹介します。
用途別 ― 住宅・共同住宅・商業/業務・工場/作業所・農林漁業施設・公共施設など、建物の用途ごとに色分けします。エリアの土地利用の全体像をつかみたいときに使うモードです。

耐震基準 ― 建築年をもとに、旧耐震以前(〜1970年)・旧耐震基準(1971〜1981年)・新耐震基準(1982〜1999年)・2000年基準(2000年以降)の4段階で色分けします。エリア内の建物がどの耐震基準で建てられているかを面的に把握したいときに使うモードです。建築年が不明な建物は「不明」として薄く表示され、実測値と不明値が混ざって見えないようにしています。

高さ別 ― 建物の高さを0〜3mから60m以上まで8段階のグラデーションで表示します。街のスカイラインや大規模建築物の分布を確認したいときに使うモードです。

いずれのモードでも、建物をクリックすると建築年・耐震基準・高さ・階数・構造といった個別の詳細情報を確認でき、そのままAIチャットで地震シナリオ別の倒壊確率分析につなげることもできます。
毎月、エージェントが自ら国のデータ公開を追いかける仕組み
PLATEAUに限らず、私たちが扱う公的オープンデータは、提供元の国・自治体によって日々更新されています。この更新を人手で毎回確認するのは現実的ではありません。そこで、無人で動くエージェント(Step Functionsによる自動化パイプライン)を構築しました。毎月5日、このエージェントが自ら国のデータ公開状況を確認し、更新が見つかれば取得・検証・データベースへの投入・(PLATEAUの場合は地震シミュレーションの再計算まで)・配信までを完結させます。
取り込みの際には複数の検品ゲートを自動で通過させ、データが劣化していないか、想定と異なる形式になっていないかを確認します。処理結果はメールで報告され、もし異常を検知した場合は、そこで処理を止めて人に知らせる設計にしています。「更新が反映されているか分からない」「反映されたデータが壊れていないか分からない」という不安を、仕組み側で潰しておく。これが目的です。
なお、このエージェントは、地図上でユーザーとやり取りするAIチャット機能(Bedrock Agent)とは別の仕組みです。データ更新は人の判断を介さず自律的に動くエージェントが、AIチャットは利用者との対話にそれぞれ特化しています。
多くのGIS・データ系サービスに共通する課題として、立ち上げ時こそ最新のデータで始まっても、その後の更新作業が人の手に委ねられたままだと、担当者の異動や業務の忙しさをきっかけに更新が滞り、気づけば数年前のデータのまま使われ続けてしまう、というものがあります。私たちはこの更新作業を人の記憶や善意に依存させず、エージェントが自律的に回す設計にしました。担当者が変わっても、うっかり忘れても、データは更新され続けます。副次的な効果として、これまで更新作業に費やしていた時間を、開発チームがより本質的な機能開発に充てられるようになったことも挙げられます。
地価公示データが、九州から全国へ
2026年分の地価公示データを取り込み、対応範囲を従来の九州7県から全国47都道府県へと拡大しました。新たに25,565件を追加し、これまでの九州7県分(2,312件)とあわせて全国合計114,165件の地価情報を扱えるようになっています。既存の九州7県分のデータは、今回の拡大によって一切変更されていません。
あわせて、データの取り込み処理そのものも、国が公表する公式のデータ定義に基づく方式へ刷新しました。これにより、価格・所在地・用途区分といった項目を、より正確に記録できるようになっています。九州以外のエリアで土地取引や担保評価に携わる方にも、公示地価という共通の物差しで比較検討いただけるようになったのは、地味ながら大きな一歩だと考えています。
24時間、いつでも使えるように
これまでMAPRISEは、コスト面の都合から、深夜の時間帯に短時間のメンテナンス停止を設けていました。今回、この停止時間を無くし、地図の閲覧・AIチャットでの対話・PDFレポートの生成のすべてを24時間いつでもご利用いただける体制へ移行しました。深夜に現地確認の準備を進める方、時差のある海外投資家の方にも、時間帯を気にせずお使いいただけます。
見えないところの安心も
このほか、サーバーのディスク容量を毎日自動で監視する仕組みを新設し、容量不足によるサービス停止のリスクを早期に検知できるようにしました。また、AIチャットの回答が安全な内容であるかを確認する仕組みについても、すべての応答経路で強化しています。
今回ご紹介した内容は、どれも目に見える新機能ではありませんが、業務でお使いいただくデータの土台を支える部分です。引き続き、扱えるデータの範囲を広げながら、その正しさを確かめ続ける仕組みも、あわせて磨いていきます。
本記事で紹介したPLATEAU建物データはCC BY 4.0(属性情報公開リストはPDL 1.0)、地価公示・地価調査は国土交通省 国土数値情報を出典としています。AIによる倒壊確率分析は参考情報であり、個別建物の耐震性能を保証するものではありません。
タグ: #データ品質 #PLATEAU #地価公示 #自動更新 #稼働体制
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