MAPRISEの全国対応の中でも、登記所備付地図(地番)とPLATEAU 3D都市モデルは群を抜いて重いデータでした。この2つを組み込む意味と、展開にあたっての工夫、そして「一生完成しない」データとどう付き合っていくかを書き残します。
こんにちは、MAPRISE開発チームです。先日の記事では、九州7県から全国47都道府県へレイヤーを広げていく1日の記録を書きました。今回は、その全国対応の中でも特に重かった2つのデータ ― 登記所備付地図(地番)とPLATEAU 3D都市モデル ― について、このお盆の間に取り組んだことをまとめます。
九州7県から、全国へ。そして最後に残った2つの山
MAPRISEは福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島の九州7県からスタートしたサービスです。全国対応を進める中で、統計データや事業所データなど多くのレイヤーは比較的早く広げられましたが、最後まで残っていたのが、データの規模・処理の複雑さともに群を抜いて重い、この2つのデータでした。
1. 登記所備付地図(地番)
法務局が管理する登記所備付地図は、土地の一筆一筆に割り振られた「地番」の境界を示す地図データです。不動産の登記や取引の際に必ず参照される、いわば土地の戸籍のような情報ですが、これまでは法務局の窓口や有償の地図情報サービスを通じてでないと、まとまった形で確認するのが難しいものでした。
MAPRISE上でこの地番界を表示できるようにすることで、住所や地図の見た目だけでは分からない「この土地の地番は何丁目何番か」を、他の地価・統計・ハザードなどのレイヤーと重ねながらワンストップで確認できるようになります。不動産・金融・自治体など、土地の権利関係を扱う業務にとっては特に価値の大きいデータです。

実際に地番のポリゴンをクリックすると、市区町村・大字・丁目・地番・座標値種別といった情報がポップアップで表示されます。

2. PLATEAU 3D都市モデル
国土交通省のProject PLATEAUは、全国の都市を対象に、建物の位置・高さ・用途などをデータ化した3D都市モデルです。以前の記事でも建物レイヤーの使い方や用途不明建物の補完を紹介してきましたが、これも九州先行で扱っていたデータの1つでした。
今回、この建物データの取り込みを全国へ広げる作業を進め、本記事執筆時点でMAPRISEに投入済みの建物は23,759,999棟・265自治体まで拡大しています。3D都市モデルという「街全体の形」を地図上にそのまま重ねられることで、日照・景観・耐震基準といった建物単位の情報を、地価や統計データと合わせて立体的に把握できるようになります。


上記2枚のPLATEAU画面は、全国分の取り込み作業が進行中の時点のものです。凡例内の自治体数はスナップショット時点の値であり、本記事本文に記載の265自治体という数値とは前後する場合があります。
展開にあたって工夫したこと(少しだけ)
登記所備付地図もPLATEAUも、都道府県・自治体ごとにデータの形式や粒度、公開の仕方にばらつきがあります。九州7県分だけを個別に確認しながら扱っていたこれまでのやり方を、そのまま47都道府県・数百自治体分に当てはめると、確認作業だけで到底終わりません。
そこで今回、自治体ごとの差分を吸収する処理をパイプライン側にできるだけ寄せ、人が都度手作業で調整しなくても大部分のケースをカバーできるような仕組みに作り替えました。処理の詳細はここでは伏せますが(技術的な優位性に関わる部分のため)、これによって「1自治体ずつ人力で確認して取り込む」から「まとめて流し込み、外れ値だけ人が見る」という進め方に近づけています。
これらのデータは「一生完成しない」
登記所備付地図もPLATEAUも、一度取り込んで終わりというデータではありません。理由は大きく2つあります。
1つは、そもそもまだ全ての地域を網羅できていないことです。PLATEAUは現時点で265自治体分の建物を投入済みですが、全国には市区町村がそれよりずっと多く存在し、まだ手をつけられていない地域が残っています。登記所備付地図についても同様で、収録済みの範囲は日々広がっている途中です。
もう1つは、いま収録できている地域でも、そこで終わりではないことです。土地の分筆・合筆で地番は変わり、建物は日々新築・解体・改修されます。今日時点で正確なデータも、半年後には少しずつずれていきます。つまりこれらのデータは、「完成させて終わり」ではなく、「常に最新の状態を追いかけ続ける」ことそのものが仕事になる性質のデータです。
無人化・省力化という設計思想
この「終わりのない更新作業」を、人手をかけ続けて維持するのは現実的ではありません。MAPRISEでは、こうしたデータ更新の仕組みそのものを、できる限り無人化・省力化する設計を徹底しています。
正直に言うと、今回が全国規模でのほぼ初めての通しなので、想定していなかった自治体ごとの差分にぶつかるたびに手を止めて調整する、という「産みの苦しみ」の真っ只中です。ただ、この過程で仕組み自体をパイプライン化しておくことで、今後は同じような更新作業を、開発チームが寝ている間に自動で回してくれるようになっていきます。今回の苦労は、そのための土台作りでもあります。
前倒しで進めた理由
登記所備付地図とPLATEAUの全国対応は、当初は来年、半年ほどかけて西日本から東日本へ少しずつ広げていく計画でした。ですが、「早ければ早いほどよい、拙速でもよいからとにかく早く」という判断に切り替え、1つ、また1つとレイヤーを更新する形で前倒しを進めてきました。
このお盆の間に、データの規模・処理の複雑さともに全国対応の中で最も重かったこの2つを展開できたことは、開発チームとして素直に達成感があります。
おわりに
今回ご紹介した登記所備付地図とPLATEAUは、MAPRISEが扱うデータの中でも特に重く、そして「完成しない」性質を持つデータです。だからこそ、無人で維持し続けられる仕組みづくりに力を入れています。まだ収録できていない地域や、精度を上げていきたい部分も残っていますが、引き続き地道に進めていきます。
ご意見・ご質問は info@maprise.jp までお気軽にお寄せください。
本記事で紹介した登記所備付地図データは法務省が整備・公開する情報を、PLATEAU建物データは国土交通省が整備する3D都市モデル(ライセンス: CC BY 4.0)を情報源としています。投入済み棟数・自治体数は本記事公開時点のものであり、取り込み作業の進行に伴い今後も変動します。
タグ: #全国展開 #PLATEAU #登記所備付地図 #データ品質 #データ更新
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