宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域(盛土規制法)と、大規模盛土造成地(谷埋め型・腹付け型)のレイヤーを九州7県に追加しました。「これから盛土する際の規制」と「すでにある造成地の地盤リスク」という、似ているようで別の2つの情報を、MAPRISE上でどう表示しているかご紹介します。
こんにちは、MAPRISE開発チームです。今回は「盛土(もりど)」に関する2つのレイヤーを新たに追加しました。「宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域」(九州7県)と、「大規模盛土造成地」(九州7県)です。どちらも盛土に関するデータですが、実は指し示している内容がまったく異なります。この違いを整理しながらご紹介します。
盛土規制法とは何か
2021年の熱海市伊豆山地区での土石流災害を契機に、盛土等による災害から人命を守ることを目的とした法律「宅地造成及び特定盛土等規制法(通称:盛土規制法)」が2023年5月に施行されました。都道府県知事等が「盛土等により人家等に被害を及ぼしうる区域」を規制区域として指定し、区域内で一定規模以上の盛土・切土・土石の堆積を行う際は、事前に許可・届出が必要になります。
MAPRISEに追加した1つ目のレイヤーは、この規制区域そのものです。区域は3種類に分かれます。宅地造成等工事規制区域(市街地など、人家等が現に存在するエリア)、特定盛土等規制区域(斜面地など、地形条件から人家等に危害を及ぼしうるエリア)、そして原典のデータで区域区分が判別できない区域区分不明・その他です。収録範囲は福岡・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島の6県(佐賀県は規制区域の指定がないため非収録)、令和7年度版のデータです。
九州は山地が多いという地形の特性上、面積で見ると市街地周辺を指定する宅地造成等工事規制区域よりも、斜面地等を指定する特定盛土等規制区域の方が広く指定される傾向にあります(特に熊本・大分・宮崎・鹿児島)。逆に福岡県は宅地造成等工事規制区域の指定が多いのが特徴です。用地を仕入れる際、この区域に入っているかどうかで、造成工事に許可・届出が必要になるかが変わってくるため、初期段階の確認事項として活用いただけます。
大規模盛土造成地とは何か(規制区域とは別の話です)
2つ目のレイヤーである大規模盛土造成地は、盛土規制区域とは似て非なる情報です。規制区域が「これから盛土等の工事をする際の規制」であるのに対し、大規模盛土造成地は「過去に谷や斜面を盛土で埋めて造成された、既存の宅地そのもの」を指します。 つまり、これから何かをする場所ではなく、すでに人が住んでいる造成地の地盤リスクを示すデータです。
区分は2種類あります。谷や沢を盛土で埋めて造成した谷埋め型、傾斜地に盛土を腹付けして造成した腹付け型です。大規模盛土造成地は地震の際に「滑動崩落」と呼ばれる、盛土全体が地すべりのようにずれ動く現象を起こす可能性が指摘されており、2016年の熊本地震でも実際に造成地の被害が確認されています。収録範囲は九州7県、令和5年版のデータです。新築の建築可否判断だけでなく、既存の造成地における地盤改良コストの見積りにも活用いただけます。
MAPRISEでの表示:地図から見えること
実際の画面を見てみましょう。福岡市城南区・南区周辺を表示した例です。

琥珀色に塗られた広い範囲が宅地造成等工事規制区域、赤色が特定盛土等規制区域、そして紫色の小さなポリゴンが大規模盛土造成地(谷埋め型)です。地点をクリックすると、その場所に重なっている情報がまとめてポップアップに表示されます。上の画面では、「宅地造成等工事規制区域」(市区町村・告示番号・指定年月日)と、「谷埋め型」の大規模盛土造成地(市区町村・造成地番号)の両方が同時に表示されており、規制区域と既存造成地のリスクが同じ場所に重なっていることが一目でわかります。
左メニューでは2つのレイヤーをそれぞれ独立してON/OFFでき、透過度も別々に調整可能です。右下の凡例には両レイヤーの色分けがまとめて表示されます。

凡例にも記載していますが、両レイヤーとも収録都道府県が限られる参考情報です。非表示のエリア=リスクなし、という意味ではなく、正式な区域指定・詳細な地盤情報は、各都道府県・自治体の公表資料や地質調査でご確認ください。
まとめ:似ているようで別の2つの情報を、重ねて見る
「盛土規制区域」は制度上の規制の有無、「大規模盛土造成地」は実際の地盤の成り立ちという、視点の異なる2つの情報です。この2つを1つの地図の上で重ねて見られることで、「この土地は規制区域内か」「過去に盛土で造成された土地か」を同時に確認でき、用地仕入れの造成可否判断や、建築計画・地盤改良コストの見積りの精度を高める材料になると考えています。
引き続き、地盤に関するデータを増やしていきます。地盤の中身をさらに掘り下げたい方はボーリング柱状図の回、洪水など他のハザードと重ねて見たい方は多段階浸水想定の回もあわせてどうぞ。
本データは国土数値情報(宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域、大規模盛土造成地)を参考情報として掲載しています。正式な区域指定・地盤の詳細は、各都道府県・自治体の公表資料および専門家による地盤調査でご確認ください。
出典:国土数値情報(宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域)令和7年度版・国土数値情報(大規模盛土造成地)令和5年版・国土交通省
タグ: #盛土規制法 #大規模盛土造成地 #地盤 #防災 #データ更新
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