林野庁の国有林GISデータ(2024(令和6)年度版)をもとに、九州7県の国有林を「小班」単位で表示するレイヤーを追加しました。樹種・林齢・面積・機能類型・保安林指定まで確認でき、既存の「森林地域」レイヤーとあわせて使うことで、土地の見え方がどう変わるかをご紹介します。
こんにちは、MAPRISE開発チームです。今回は「国有林(小班)」「国有林道」という2つの新しいレイヤーをご紹介します。データの出所は林野庁が2025年12月に公表した「国有林GISデータ(2024(令和6)年度版)」で、九州7県の国有林について、区画(小班)ごとの樹種・林齢・面積・機能類型・保安林指定等を地図上で確認できるようになりました。
「森林地域」と何が違うのか
MAPRISEには以前から、国土数値情報の「森林地域」レイヤーがあります。このレイヤーは地域森林計画対象民有林・保安林・国有林の4区分を色分け表示しますが、国有林の部分はあくまで参考表示で、区画の精度は保証されていません。実際、国有林の正確な境界・面積・樹種構成を知りたい場合、この情報だけでは足りませんでした。
今回追加した「国有林(小班)」レイヤーは、これとは別のデータです。林野庁が国有林GIS(森林管理の実務システム)で使用している原典データそのもので、「小班」と呼ばれる管理単位ごとにポリゴンが区切られています。小班は林班(より大きな区画単位)をさらに細分したもので、林野庁の資料でいえば「1つの林分としてまとまった管理を行う最小単位」にあたります。国有林は原則として売買・開発の対象外ですが、隣接地の取引や評価に関わる際には、この正確な区画情報が判断材料になります。
実際の画面で見てみる
まずは宮崎県都城市周辺の例です。国有林(小班)レイヤーをONにして区画をクリックすると、その小班の詳細情報がポップアップで表示されます。

管轄の森林管理局・森林管理署、林小班の識別名、優占する樹種とその林齢(森林計画樹立時点)、面積、重視される機能類型、指定されている保安林の種類が一覧できます。ポップアップ下部には「隣接地の境界確認は森林管理署が窓口」「隣接地から見ると将来も開発されにくい環境安定要因」という実務メモも添えています。
福岡・立花山周辺のデータが示すもの
もう一つ、福岡市東区・新宮町にまたがる立花山周辺の例をご紹介します。立花山は樹齢300年を超えるクスノキ原始林(国の特別天然記念物)で知られる山ですが、この周辺の小班をクリックすると、興味深いデータが表示されます。

この区画では、優占樹種として「クス(281年生)」が記録されています。地元で語り継がれる「樹齢300年の大楠」という言い伝えと、公的な森林計画データが示す林齢が近い数値で符合している点は、データの裏付けとして興味深いところです。なお本データは小班(面積4.09ha)単位の集計であり、特定の1本の木を指し示すものではない点にはご留意ください。機能類型は「自然維持」、保安林は水源かん養保安林・保健保安林の2種が指定されており、この一帯が水源涵養と保健・レクリエーションの両面で重視されていることが読み取れます。
「森林地域」に重ねて表示すると
「森林地域」レイヤーと「国有林(小班)」レイヤーは、左メニューでそれぞれ独立してON/OFFできます。両方を重ねると、参考表示の国有林区分(森林地域レイヤーの濃緑部分)と、林野庁原典による正確な区画(黒い輪郭線のポリゴン)の違いが一目で分かります。


国有林(小班)レイヤーの色分けは、面積ではなく「機能類型」(水源涵養・山地災害防止・自然維持/保健文化・その他の4区分)で行っています。同じ国有林でも、どの機能を重視して管理されている区画かが色で読み取れます。少しズームインすると、この違いはさらにはっきりします。

5つの業種で、どう役立つか
MAPRISEでは、不動産仲介・宅建業者、デベロッパー・ファンド、金融機関(融資審査)、士業(鑑定・調査・法務)、自治体(都市計画・防災)という5つの業種を主な想定顧客としています。国有林データは、それぞれの業務でこう活きると考えています。
不動産仲介・宅建業者の方にとっては、山林・別荘地を扱う際の環境確認に役立ちます。対象地が国有林に隣接している場合、将来にわたって開発されにくい環境安定要因として、お客様への説明材料にもなります。
デベロッパー・ファンドの方には、用地スクリーニングの除外判定に活用いただけます。国有林は原則として取得・開発の対象外のため、候補地選定の初期段階で対象外エリアを地図上で確認できることは、無駄な現地調査を減らすことにつながります。
金融機関(融資審査)の担当者にとっては、担保評価における隣接地チェックの材料になります。担保物件の隣に国有林が広がっている場合、それが将来の開発リスクを下げる要因として働くこともあります。
士業(鑑定・調査・法務)の方には、筆界の事前調査や鑑定評価の環境要因分析に役立ちます。対象地の隣接地が国有林である場合、境界確認の窓口が森林管理署であることを事前に把握できるほか、樹種・林齢・保安林指定といった情報は、鑑定評価における周辺環境の記述にも活用できます。
自治体(都市計画・防災)の担当者にとっては、保安林の指定状況(水源かん養・土砂流出防備等)を地図上で俯瞰できることは、防災計画や森林整備計画の基礎資料になります。管内の国有林がどの機能類型で管理されているかを把握することは、地域の水資源・防災機能を理解する材料にもなります。
データについての注意点
本データは林野庁「国有林GISデータ(2024(令和6)年度版)」を情報源としています。同データの位置情報には整備過程で生じた誤差が含まれる場合があり、林小班の位置・面積・林種・樹種等の情報は、必ずしも現地の状況と一致するとは限りません。したがって、所有権・所有界・面積等の土地に係る諸権利、立木竹の評価を証明するものではありません。また本データはあくまで2024年4月時点の現況を示したものであり、現在の状況を示すものではない点にもご留意ください。国有林への入林には、一定の場合を除き、管轄の森林管理局・森林管理署への事前手続きが必要です。林道についても通行できない場合があります。正式な境界確認・入林手続き等は、必ず管轄の森林管理署へお問い合わせください。
出典:国有林GISデータ(2024(令和6)年度版)、林野庁、PDL1.0(公共データ利用規約第1.0版)
タグ: #国有林 #森林 #データ更新 #用地スクリーニング #担保評価
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