PLATEAUの3D建物、国土地理院の標高データ、高架道路・鉄道の高さを組み合わせ、冬至・春秋分・夏至の影を時刻ごとに再現します。1日の日照時間のヒートマップも表示でき、用地取得の初期検討にお使いいただけます。
こんにちは、MAPRISE開発チームです。今回は、地図上で建物や山の「影」を再現し、土地ごとの日当たりを確認できる「日影・日当たり」機能をご紹介します。
土地を検討するとき、「この土地は、冬の午後にどれくらい日が当たるのか」「南側に建つ高層ビルの影は、どこまで届くのか」といった点は、現地に足を運んでも、季節や時間帯を変えて確かめることが簡単ではありません。この機能では、3D都市モデルや標高データから太陽の位置に応じた影を計算し、冬至・春秋分・夏至の影を、時刻ごとに地図の上で見比べることができます。
この機能でできること
- 冬至・春秋分・夏至の影を切り替えて確認できます。 日の出から日没まで、時刻のスライダーを動かすと影が追従します。「1日の動き」ボタンで、影が動いていく様子を再生することもできます。
- 1日の日照時間をヒートマップで表示できます。 地点ごとに、選んだ季節の1日で何時間日が当たるのかを色分けします。
- 建物・山・高架の影を一緒に反映します。 建物はPLATEAUの高さ、山や丘は国土地理院の標高データ、高架道路・高架鉄道はOpenStreetMapの情報を使っています。
- 地点をクリックすると、3つの季節の日照時間を比べられます。
計算はブラウザ上で行っており、地図を動かしながら、すぐに結果を確認できます。
冬至・春秋分・夏至で、影はこれだけ違います
同じ場所・同じ時刻でも、季節によって影の長さは大きく変わります。大阪駅周辺の午後3時の影を、3つの季節で並べてみます。

冬至の15時は、太陽高度が17.4度と低く、影が長く伸びています。駅前の広い範囲が影に入っていることが分かります。

春秋分の15時は、太陽高度が36.4度まで上がり、影は冬至の半分以下の長さになります。

夏至の15時は、太陽高度が49.4度で、影は建物の足元に短く落ちる程度です。同じ時刻でも、冬と夏とで、日当たりの印象が大きく違うことが分かります。
時刻を動かすと、影がどう動くか
次に、新宿・西新宿の冬至の影を、朝・昼・午後で見比べてみます。

9時は、太陽が南東の低い位置にあり、高層ビルの影が北西へ長く伸びています。

正午は、太陽が真南に来て、影は真北へ向かいます。この日の太陽高度は30.7度です。

15時には、太陽が南西に傾き、影は北東へ再び長く伸びます。高層ビルが並ぶ地域では、時間の経過とともに、影が地面を横切っていく様子が地図上で見えてきます。
日照時間をヒートマップで表示します
「日照時間(1日)」に切り替えると、影の位置だけでなく、「1日のうちで何時間日が当たるか」を色で確認できます。紺色から青、緑、黄の順に、日照時間が長くなります。集計する時間帯は、「真太陽時 8〜16時」と「日の出〜日の入り」から選べます。
名古屋駅周辺の冬至と夏至を、同じ範囲で比較してみます。

冬至は、高層ビルの背後や建物に挟まれた通りの多くで、日照が短い(紺〜青)領域になっています。

夏至は、同じ範囲でも黄色の領域が大きく広がります。季節による差を、色の広がりで一目で比べられます。
福岡・天神の冬至も見てみます。

ビルの谷間の通りは日照が短く、公園や幅の広い交差点は、日照が長いことが色で分かります。
山の影も反映します
建物だけでなく、山や丘が落とす影も反映できます。国土地理院の標高タイルを使い、地点から約20km先の山までを対象に、太陽が地形で遮られる時間を計算しています。
鳥取市中心部の冬至の朝9時です。

茶色の範囲が、山や丘の陰になる部分です。東側の山の斜面が、朝の低い太陽を遮っていることが分かります。建物の影(濃い灰色)とは色を分けているため、「建物による影なのか、地形による陰なのか」を区別して確認できます。
日照時間のヒートマップにも、山・丘の陰が含まれます。

山すそや谷あいなど、起伏のある土地では、建物だけを見ていると日照時間を過大に見積もってしまうことがあります。山の陰を含めて確認することで、見落としを減らせると考えています。
高架道路・高架鉄道の影も反映します
駅前や幹線道路では、高架道路や高架鉄道が、周囲に長い影を落とすことがあります。この機能では、OpenStreetMapの橋・高架の情報から、高さ(おおむね6〜16m)と幅を推定して影を計算しています。
先ほどの大阪駅周辺の画像でも、駅に並ぶ高架の線路が、灰色の帯として描かれ、その影が周囲に落ちている様子が確認できます。高架の高さは、タグからの推定値であり、実測値ではない点にご留意ください。
地点をクリックして、3つの季節を比べます
「地点の日当たりを調べる」ボタンを押して地図をクリックすると、その地点の日照時間を、冬至・春秋分・夏至の3つの季節で並べて表示します。

この例では、冬至は3時間20分、春秋分は5時間10分、夏至は7時間40分と、同じ地点でも季節によって日照時間が大きく変わることが分かります。時間帯の棒グラフでは、いつ日が当たり、いつ日陰になるのかが分かります。建物の影のみの場合と、山・丘の陰を含む場合を、分けて表示している点も、確認の助けになるかと思います。
用地取得・開発の初期検討に
この機能は、不動産会社やディベロッパーの皆さまが、用地を検討する初期段階で、次のような場面にお使いいただけるのではないかと考えています。
- 用地取得の初期スクリーニング。 候補地の日当たりを、現地訪問の前に、冬至を含む複数の季節で比較できます。
- 周辺建物の影響の把握。 南側・西側に建つ既存の高層建物が、計画地にどの時間帯、どの程度の影を落とすのかを確認できます。
- 山あい・傾斜地の検討。 山の陰を含めた日照時間を、あらかじめ確認できます。
- 分譲・賃貸の訴求ポイントの整理。 敷地内の日照が長い場所と短い場所を、色で把握できます。
- 社内・金融機関・関係者への説明資料。 影の画面を使って説明でき、日当たりの話を、地図の上で共通認識にできます。
現地での確認や、専門家による詳細な検討の前段階として、候補地を絞り込む判断材料にしていただければ幸いです。
データと計算について、正直にお伝えします
この機能は、あくまで日当たりの「目安」です。計算の前提と限界は、次のとおりです。
- 建物の高さ: PLATEAUの高さ(LOD1)で立ち上げた角柱として扱います。高さが不明な建物は、地上階数×3mで推定し、階数も不明な場合は除外します。
- 対象外のもの: 樹木や、PLATEAUが未整備の建物は考慮しません。画面外の遠い建物の影は、計算に入らないことがあります。
- 山・丘の陰: 国土地理院の標高タイルから、数十m間隔の点で計算しています。境目は粗く、擁壁・小さな崖は表れません。斜面に建つ建物の、基礎の標高差も見ていません。
- 高架道路・高架鉄道: OpenStreetMapの情報から高さと幅を推定しています。
- 太陽位置: 天文計算に基づき、誤差は概ね0.1度程度です。
- 日影規制ではありません: 「真太陽時 8〜16時」の集計は、建築基準法の日影規制で使われる測定時間帯に合わせたものですが、規制への適合判定ではありません。
- 利用条件: 影の計算には建物の高さが必要なため、Starterプラン以上でご利用いただけます。ズームを13以上に拡大すると表示されます。
実際の計画にあたっては、建築士など専門家による日影図・日影規制の確認を、必ず行ってください。
おわりに
「土地の価値は、日当たりでも変わる」ということは、多くの方がご存じのとおりです。一方で、冬至の影や、周囲の建物・山の影響を、土地ごとに素早く確かめる手段は、これまで多くありませんでした。今回の機能が、用地を検討される皆さまの、最初の確認作業を少しでも楽にできればと願っています。
ご意見・ご質問は info@maprise.jp までお気軽にお寄せください。
出典
- 地図・データ:国土交通省 Project PLATEAU(3D都市モデル)、国土地理院 標高タイル(地理院タイル)(MAPRISE で加工して表示しています。各データの提供元とライセンスはデータソース一覧に、地図で見られるデータはレイヤー図鑑にまとめています)。© OpenStreetMap contributors
本記事で紹介した日影・日射の表示は、PLATEAUの建物高さ、国土地理院の標高タイル、OpenStreetMapの情報から計算した参考情報です。樹木・PLATEAU未整備の建物は含まず、高架の高さは推定値です。建築基準法の日影規制への適合を判定するものではありません。個別の計画については、建築士など専門家にご確認ください。
タグ: #日影 #日射 #日照時間 #PLATEAU #国土地理院 #用地取得 #ディベロッパー #不動産
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