スマホひとつで部屋を貸し借りできる民泊は、宿泊の選択肢を広げた一方で、各地で規制も生まれました。全国の市区町村ごとの民泊の条例を色分けしたMAPRISEのレイヤーで、県内のすべての市町が厳しい兵庫県、区ごとにルールが違う東京23区、特区民泊が混じる大阪府などを見ていきます。
こんにちは、MAPRISE開発チームです。
今回は、MAPRISEの「民泊の条例(市区町村ごと)」レイヤーをご紹介します。民泊について、市区町村ごとの条例などの公開情報を調べ、地図の上で色分けしたレイヤーです。
民泊が広げた、泊まる場所の選択肢
Airbnbをはじめとする世界的な企業に加えて、スマホを通じて部屋の貸し手と借り手をつなぐ民泊の情報サービスが、いくつも登場しました。家を持つ人、部屋を持つ人が、使っていない資産を一定の期間だけ誰かに貸す。利用する側にとっては、ホテルより安かったり、観光に便利な場所にあったりと、泊まる場所の選択肢が大きく広がりました。
私もかつて、民泊を使ったことがあります。普通のホテルにはない気の利いたサービスがあり、自炊しようと思えば自炊もでき、しかも駅のすぐ近くにあって、とても便利でした。
一方で、各地で規制が生まれた
一方で、民泊が急に増えたことで、課題も多く出てきました。かつては顔なじみの人しか出入りしていなかった集合住宅に、ある日から、見知らぬ人たちが大きなキャリーケースを引いて毎日のように出入りする。マナーが悪ければ、夜中に大騒ぎになることもある。こうした問題を受けて、各地で規制が設けられていきました。
国のルールとしては、2018年に住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)が施行され、民泊として営業できる日数は年180日までと定められました。そのうえで、多くの自治体が条例を定め、区域や曜日、期間などで、さらに制限を上乗せしています。規制が緩いところ、厳しいところ、さまざまです。
自治体の条例は改正されることも多く、変化の激しい分野です。それでも、こうした情報を追いかけて地図にし、どこがどうなっているのかを分かりやすくしたい。そんな思いから作ったのが、このレイヤーです。
レイヤーの見方
地図アプリの「民泊の条例(市区町村ごと)」をオンにすると、全国1,741の市区町村について、市区町村のおおよその中心に、色分けされた点が表示されます。色の意味は次のとおりです。
- 薄い黄色: 上乗せ条例を確認できていません(条例による上乗せの制限は見つかっていない。年180日までの国のきまりは別にあります)
- 橙色: 条例で一部制限(曜日・期間・学校の近くなどのきまりがある)
- 濃い赤: 条例で厳しい制限(一年中できない区域がある、または営業できる日が年約60日以下の地域がある)
- 青: 特区民泊(国家戦略特区の制度による民泊。新法の民泊とは別の制度)
- 灰色: まだ確認できていません(色がないことは、制限がないという意味ではありません)
色は、市区町村の中で最も厳しい区域の内容に近い区分です。同じ市区町村の中でも、場所によってルールは違います。
全国を見渡す
まず、全国を表示してみます。

近畿の一部に、濃い赤の点がまとまっているのが目を引きます。東北や中部、関東には橙色の点が多く、九州や中国地方などには薄い黄色の点が多く並んでいます。同じ国のルールの下でも、地域によって、上乗せの規制の考え方がかなり違うことが分かります。
厳しい地域:兵庫県
濃い赤がまとまっていたのは、兵庫県です。

兵庫県では、日本海側から瀬戸内海側、淡路島まで、41の市町すべてが「条例で厳しい制限」に色分けされています。各市町の説明を見ると、住居専用地域と学校の近くでは1年中民泊ができない、公園や景観の区域では週末・夏・冬ができない、といった内容が多く並びます。隣の岡山県や鳥取県と見比べると、県の境で色がはっきり変わります。
点をクリックすると、その市区町村の区分と、内容の要約、確認日が表示されます。たとえば芦屋市です。

芦屋市は、市の全域で、1年中民泊ができない、と要約されています。条例名や出典、制限の詳しい内容は、Starter以上のプランで表示されます。
まだらな地域:東京23区
次は東京23区です。

23区のほとんどは橙色ですが、千代田区・豊島区・江戸川区は濃い赤、北区は薄い黄色で、大田区(この図の範囲の外、南側)は特区民泊の青です。隣り合う区でも、色が違います。
同じ橙色でも、中身は区ごとにかなり違います。各区の説明を拾ってみると、たとえば次のようになっています。
- 中央区・江東区: 区内全域で、民泊ができるのは週末(土曜の昼から月曜の昼まで。江東区は祝日も)だけ
- 目黒区: 区内全域で、金曜の昼から日曜の昼までだけ
- 新宿区・練馬区: 住居専用地域では、平日(月曜の昼から金曜の昼まで)はできない
- 渋谷区: 住居系の地域では、年に約63日だけ
- 台東区: 2026年10月1日以降に届出た民泊は、土日・祝日と年末年始だけ
区ごとに、対象の地域、曜日、時期の決め方が異なります。地図で見るとまだらに見えるのは、こうした違いの表れです。
まだらな地域:大阪府と特区民泊
大阪府も、まだらな地域です。

大阪市・高槻市・箕面市・豊中市は濃い赤、寝屋川市・堺市は橙色、泉佐野市・貝塚市・羽曳野市・河内長野市は特区民泊の青で、そのほかの多くの市町村は薄い黄色です。
大阪では、国家戦略特区の制度による「特区民泊」も行われてきました。特区民泊は、2泊3日以上の滞在が条件で、新法の民泊とは別の制度です。新法の民泊の条例が緩い市と厳しい市、そして特区民泊の市が隣り合っていて、府内でも場所によって状況が大きく異なります。
観光地の季節のルール:長野県など
最後に、長野県を中心とした中部地方です。

長野県などの多くの点が橙色です。長野県では、県の条例で、時期や区域を決めて民泊を制限しています。説明を見ると、たとえば白馬村は「冬(12〜3月)、スキー場周辺は家主不在の民泊ができません」、軽井沢町は「県の条例で5月と7〜9月は不可。町は民泊を認めない方針です」と要約されています。観光のピークの時期に合わせて、ルールを決めている地域があることが分かります。
貸す側にも、泊まる側にも
民泊を運営する側にとっても、良いことばかりではありません。備品を持ち帰ってしまう人や、とても散らかした状態で出ていってしまう利用者もいると聞きます。それでも、使っていない部屋をスポットで貸して、少しでも収益にできる仕組みはありがたいものです。ただ、その分、周りの住民への影響など、弊害もあるのでしょう。
結局のところ、民泊を提供する側も、利用する側も、ルールをしっかり守ることが求められるのだと思います。ルールは町ごとに違い、しかも変わっていきます。このレイヤーが、自分の町や、泊まろうとしている町、物件を検討している町のルールを知る入り口になればうれしいです。
限界についても、正直にお伝えします
- このレイヤーは、条例・公式ページ・国の資料など公開されている情報を、当社が調べて分類・要約した参考情報です。「民泊ができる・できない」をお知らせするものではありません。
- 条例は改正されることがあり、確認日のあとに変わっている場合があります。東京23区などは月に1回、そのほかはおおむね3か月に1回確認しています。
- 色は市区町村の中で最も厳しい区域の内容に近い区分で、同じ市区町村の中でも場所によって違います。点は市区町村のおおよその中心で、境界ではありません。
- 建築基準法・都市計画・消防法・旅館業法の許可要件・マンションの管理規約などは、原則として含みません。
- 実際に民泊ができるかどうかは、必ず届出先の自治体でご確認ください。
ご意見・ご質問は info@maprise.jp までお気軽にお寄せください。
本記事で紹介した区分や説明は、MAPRISEの「民泊の条例(市区町村ごと)」レイヤーの表示内容(2026年10月時点)です。各自治体の条例・公式ページ等を当社が調査・加工した参考情報で、位置はアドレス・ベース・レジストリ(デジタル庁)を加工して作成しています。背景の地図は国土地理院の提供によるものです。
タグ: #民泊 #住宅宿泊事業法 #条例 #特区民泊 #兵庫県 #東京23区
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📝 民泊のルールは、町ごとに違う ― 「民泊の条例」レイヤーで見る、厳しい地域とまだらな地域 スマホひとつで部屋を貸し借りできる民泊は、宿泊の選択肢を広げた一方で、各地で規制も生まれました。全国の市区町村ごとの民泊の条例を色分けしたMAPRISEのレイヤーで、県内のすべての市町が厳しい兵庫県、区ごとにルールが違う東京23区、特区民泊が混じる大阪府などを見ていきます。 https://maprise.jp/ja/blog/minpaku-ordinance-map/ #民泊 #住宅宿泊事業法
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🆕 New on the MAPRISE blog. 《Minpaku Rules Differ From Town to Town — Strict Areas and Patchwork Areas on the Minpaku Ordinances Layer》 Minpaku (private lodging) arranged through a smartphone widened the choice of places to stay, but it also led to regulations across Japan. Using MAPRISE's layer that color-codes minpaku ordinances by municipality, we look at Hyogo, where every municipality is strict, Tokyo's 23 wards, where rules differ ward by ward, and Osaka, where special-zone minpaku is mixed in. 👉 Read the full post: https://maprise.jp/en/blog/minpaku-ordinance-map/ #Minpaku #Privatelodging #Ordinances #Special-zoneminpaku #Hyogo