警視庁が公表する町丁ごとの認知件数(2009〜2025年)を地図にした「重大犯罪(東京・町丁別)」レイヤーを公開しました。年ごとの切り替え、罪種ごとの絞り込み、クリックで見られる17年分の履歴、従来の犯罪マップとの2画面比較まで、画像を中心にご紹介します。
こんにちは、MAPRISE開発チームです。
住むなら、治安のよいところに住みたい。これは、誰もが願うことだと思います。ただ、「治安がよい」「悪い」というのは、印象で語られることが多く、いつ、どの町で、どんな犯罪が、どのくらい起きているのかを、自分の目で確かめる機会はあまりありませんでした。
警視庁は、町丁ごとの犯罪の認知件数を、罪種別・年別にオープンデータとして公表しています。今回、このデータを地図にした「重大犯罪(東京・町丁別)」レイヤーを、東京都を対象に公開しました。数字の表だけでは見えにくい「どこに多いか」「いつ増えて、いつ減ったか」が、地図の色と、クリックで出る履歴で、ぐっと分かりやすくなります。この記事では、できるだけ画像でお見せします。
データ概要について、正直にお伝えします
- 対象地域: 東京都のみです。
- 単位: 町丁(「歌舞伎町1丁目」のような丁目単位)ごとの、年間の認知件数です。
- 期間: 2009年〜2025年の17年分です。
- 罪種: 強盗、殺人・放火等、傷害、暴行、脅迫・恐喝等、空き巣、忍込み・居空き、その他の侵入窃盗の8区分です。窃盗の手口(自転車盗や車上ねらいなど)を点で示す従来の「犯罪発生情報」には含まれていない罪種を補う位置づけです。
- 出典: 警視庁「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」(東京都オープンデータ、CC BY 4.0)です。MAPRISEで町丁の境界に結合し、再集計しています。
地図に出る数字は、個別の事件が起きた場所ではなく、町丁ごとの年間の件数です。公表時点の暫定値のため、他の統計と一致しない場合があります。
東京の全体を見てみる
まず、東京23区を中心に表示してみます。件数が多い町丁ほど濃い色で塗り分けられていて、「全年度」を選んでいるときは、17年間の年平均の件数が色になります。

全体を眺めると、色の濃い町丁が、新宿、池袋、渋谷といった大きなターミナル駅や繁華街のあたりに集まっていることが分かります。一方で、住宅地の広がるエリアは、淡い色が中心です。
年を切り替えると、地図の表情が変わる
左側のパネルには、2009年から2025年までの年ボタンが並んでいます。同じ範囲を、2009年、2015年、2020年、2025年に切り替えて並べてみました。

画面から受ける印象としては、2009年は全体に色が濃く、2015年、2020年と色が淡くなり、2025年は繁華街の濃さがふたたび目立ちます。数字で追うと、この印象が町ごとに違う動きをしていることも分かりますが、それは後ほどクリックの画面でご紹介します。
「全年度」を選ぶと、17年分をならした年平均の姿が見られます。年ごとの揺れをならして、町の「いつもの水準」を見たいときに便利です。
罪種で絞り込むと、まったく違う地図になる
8つの罪種は、チェックボックスで個別にオン・オフできます。同じ「全年度」の画面で、強盗だけ、空き巣だけ、傷害だけ、暴行だけを表示して並べました。

罪種によって、地図の様子はまるで違います。
- 強盗は、色のついた町丁がごくわずかです。
- 空き巣は、淡い色が住宅地を含む広い範囲に薄く広がっています。
- 傷害・暴行は、繁華街の町丁に濃く集中しています。
「治安」とひとことで言っても、どの種類の犯罪を気にするのかで、見るべき場所は変わります。住まい選びなら空き巣、夜に人が集まる街の出店なら傷害・暴行、というように、目的に合わせて切り分けられるのは、地図で見る大きな利点だと思います。
件数の多い町丁に、ズームしてみる
23区を中心に私が確認した範囲で、全年度の年平均が多かった町丁を並べると、次のようになりました(8罪種の合計・年平均)。
| 町丁 | 年平均の件数 |
|---|---|
| 新宿区 歌舞伎町1丁目 | 約156件 |
| 新宿区 歌舞伎町2丁目 | 約120件 |
| 新宿区 新宿3丁目 | 約107件 |
| 港区 六本木3丁目 | 約69件 |
| 渋谷区 道玄坂2丁目 | 約67件 |
| 豊島区 西池袋1丁目 | 約67件 |
いずれも、大きな駅の周辺の繁華街です。それぞれにズームしてみます。
新宿・歌舞伎町周辺

池袋駅周辺・渋谷駅周辺

六本木周辺

ここで、大切なことを書き添えます。これらの町丁は、働く人、遊びに来る人、通り過ぎる人が非常に多い場所です。MAPRISEのこのレイヤーは、人口で割った「住民1人あたりの件数」ではなく、町丁ごとの件数そのものを示しています。ですから、色が濃いことは、「そこに住んでいる人にとって危険だ」という意味ではなく、「人の集まる場所で、件数が多く記録されている」という意味に近いものです。この点は、くれぐれも誤解のないようにお願いします。
クリックすると、17年分の履歴が出てくる
町丁をクリックすると、その町丁の履歴がポップアップで表示されます。歌舞伎町1丁目をクリックしてみました。

ポップアップには、次の情報が出ます。
- 罪種別の件数: 17年間の合計で、強盗が118件、殺人・放火等が63件、傷害が871件、暴行が1,179件、脅迫・恐喝等が162件、空き巣が2件、その他の侵入窃盗が254件でした。
- 年ごとの推移: 2009年から2025年まで、年ごとの件数が棒グラフで並びます。
年ごとの推移を見ると、ピークは2015年の204件、最も少ないのは2020年の85件で、2025年は178件でした。2020年に大きく減っているのは、新型コロナの行動制限が続いていた時期と重なります。人の動きと件数が連動していそうだ、という仮説を立てる手がかりにはなりますが、このデータだけで原因までは言えません。
年ボタンで2020年を選んでからクリックすると、その年の罪種別の内訳が表示されます。

「いつ、どんな犯罪が、何件」という問いに、同じ画面で答えが出てくるのが、このレイヤーの一番の特長です。
別の町丁も見てみましょう。渋谷区の宇田川町です。

宇田川町は、2009年の36件から2015年には87件まで増え、その後いったん減って、2025年は75件になっています。同じ繁華街でも、町によって増減の形は違います。このような違いは、地図の色だけでは分かりません。年ごとの履歴が町丁ごとに見られるからこそ、読み取れる情報です。
静かな住宅地も、同じ操作で確かめられる
件数の多い町だけでなく、件数の少ない町も、同じ操作で確かめられます。世田谷区の砧7丁目をクリックしてみました。

この町丁では、17年間で、強盗1件、暴行2件、空き巣1件の合計4件でした。繁華街の歌舞伎町1丁目の2,649件と比べると、同じ東京都内でも、これだけ差があります。
ただし、件数が少ないことは、「安全が保証されている」という意味ではありません。あくまで、警察が認知した件数の記録です。
従来の犯罪マップと、2画面で比べる
MAPRISEには、以前から「犯罪発生情報」のレイヤーがあります。こちらは、窃盗の手口(自転車盗、オートバイ盗、車上ねらい、部品ねらい、自動車盗、ひったくり、自動販売機ねらい)を、点で示すものです。画面を左右に分割して、左に今回の重大犯罪レイヤー、右に従来の犯罪発生情報を表示してみました。

左は「町丁ごとの件数の多さ」を面で、右は「窃盗の手口を点で」見せています。同じ新宿駅周辺でも、2つを並べると、見えてくるものが違います。
- 従来のレイヤーは、窃盗の手口を、ピンの位置で見る。
- 今回のレイヤーは、強盗・傷害・暴行・侵入窃盗などを、町丁ごとの面と履歴で見る。
どちらも、地図の上で自由にオン・オフできますので、気になる町を、両方の視点で確かめることができます。従来のレイヤーについては、こちらの記事に詳しく書きました。
「時系列で追える」ことが、地図で見る意味だと思います
この記事で一番お伝えしたかったのは、時系列です。
統計の表は、ある1年の数字を並べることには向いていますが、「この町は、17年の間にどう動いたのか」を、町丁ごとに、罪種ごとに追うのは大変です。MAPRISEでは、年ボタンで地図ごと切り替え、クリックで17年分の推移を見て、罪種のチェックで切り分けられます。時間で分けて見られること、そして、その場所の上で見られることが、地図ならではの強みだと思います。
不動産の購入や賃貸、出店の検討、防犯の計画づくりなど、場所を選ぶ場面は、たくさんあります。オープンデータとして公表されている情報を、いつ、どの地域に、どんな犯罪が、という形で、定性的にも定量的にも確かめられるようになりました。
限界についても、正直にお伝えします
- 地図の件数は、町丁ごとの年間の認知件数です。個別の事件の位置を示すものではありません。
- 人口で割った値ではありません。人の多い場所は、件数も多くなる傾向があります。
- 認知件数は、警察が把握した件数です。把握されていない件数は含まれません。
- 1つの町が複数の区画に分かれている場合は、すべての区画に町全体の件数を表示しています。
- 罪種の「殺人・放火等」は、殺人だけを切り分けることができません。
- 公表時点の暫定値のため、他の統計と一致しない場合があります。
- 無料プランでは2019年のみ表示されます。全年度の表示は Starter 以上でのご利用となります(現在のβ期間中は全年度をご覧いただけます)。
- 対象は東京都のみです。他の地域は、今後の対応を検討します。
おわりに
住む場所や働く場所を選ぶとき、印象だけでなく、事実の記録を、時間の流れとともに確かめられる。そのお手伝いが、地図にできたら嬉しいと思っています。ご覧になる際は、「件数の多い町=危険な町」と短絡せず、人の集まり方や、時間による変化も、あわせて読み取っていただければ幸いです。
ご意見・ご質問は info@maprise.jp までお気軽にお寄せください。
本記事の地図に表示している重大犯罪の件数は、「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」、東京都(警視庁)、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示4.0国際(CC BY 4.0)をもとに、MAPRISE(Vulcanz合同会社)が町丁の境界に結合・再集計した参考情報です。東京都・警視庁が作成または公表したものではありません。公表時点の暫定値であり、他の統計と一致しない場合があります。地図は国土地理院の地理院タイル等をもとにしています。本記事は、特定の地域や人々を評価・批判する意図のものではありません。
タグ: #犯罪 #治安 #東京都 #オープンデータ #時系列
他言語のシェアテキスト (例外運用向け)
通常は上の Quick share をご利用ください (X 系は日本語、LinkedIn は英語に固定)。下の 4 ペインは「英語記事を X で日本語紹介したい」「日本語記事の LinkedIn 投稿を日本語で出したい」等の例外運用に使えます。各テキストはコピー編集してから投稿することも、そのまま投稿画面を開くこともできます。
📝 いつ、どの町で、どんな犯罪が ― 東京都の重大犯罪を、町丁別・17年分で地図にしました 警視庁が公表する町丁ごとの認知件数(2009〜2025年)を地図にした「重大犯罪(東京・町丁別)」レイヤーを公開しました。年ごとの切り替え、罪種ごとの絞り込み、クリックで見られる17年分の履歴、従来の犯罪マップとの2画面比較まで、画像を中心にご紹介します。 https://maprise.jp/ja/blog/tokyo-serious-crime-map/ #犯罪 #治安
🆕 新しいブログ記事を公開しました。 《いつ、どの町で、どんな犯罪が ― 東京都の重大犯罪を、町丁別・17年分で地図にしました》 警視庁が公表する町丁ごとの認知件数(2009〜2025年)を地図にした「重大犯罪(東京・町丁別)」レイヤーを公開しました。年ごとの切り替え、罪種ごとの絞り込み、クリックで見られる17年分の履歴、従来の犯罪マップとの2画面比較まで、画像を中心にご紹介します。 👉 詳しくはこちら: https://maprise.jp/ja/blog/tokyo-serious-crime-map/
📝 When, Where, and What Kind of Crime — Tokyo's Serious Crime, Mapped by Town Over 17 Years We've released the Serious Crime (Tokyo, by town) layer, built from the annual recognized-case counts per town published by the Tokyo Metr… https://maprise.jp/en/blog/tokyo-serious-crime-map/ #Crime #Publicsafety
🆕 New on the MAPRISE blog. 《When, Where, and What Kind of Crime — Tokyo's Serious Crime, Mapped by Town Over 17 Years》 We've released the Serious Crime (Tokyo, by town) layer, built from the annual recognized-case counts per town published by the Tokyo Metropolitan Police (2009–2025). Here's a mostly visual tour: switching years, filtering by crime type, a 17-year history on click, and a side-by-side view with our earlier crime map. 👉 Read the full post: https://maprise.jp/en/blog/tokyo-serious-crime-map/ #Crime #Publicsafety #Tokyo #Opendata #Timeseries