もともと九州6県だけだった津波災害警戒区域のデータを、全国47都道府県を調べて31都道府県495市区町村に広げました。太平洋側を中心に各地の状況を概説しながら、最新のハザード情報を確かめておく大切さをお伝えします。
こんにちは、MAPRISE開発チームです。
もともと九州6県だけを対象にしていた「津波災害警戒区域」のデータを、このたび全国の自治体に対応させました。全国47都道府県を調べ、指定のある31都道府県・495市区町村を収録しています(2026年10月時点)。この記事では、データの内容を正直にご説明したうえで、主に太平洋側の各地の状況を概説します。
データ概要について、正直にお伝えします
- 対象地域: 全国47都道府県を調査し、指定のある31都道府県495市区町村を収録しています。
- 単位: 市区町村ごとの「指定の有無」です。津波災害警戒区域(イエローゾーン)と津波災害特別警戒区域(オレンジゾーン)を対象にしています。
- 出典: 各都道府県が公表している資料(津波防災地域づくりに関する法律に基づく指定)です。
- 時点: 2026年10月です。指定は都道府県が随時追加するため、最新の状況は都道府県へご照会ください。
ここで、とても大切な点があります。都道府県は区域の境界を示すベクタデータを公表しておらず(PDF地図のみ)、MAPRISEの本レイヤーは区域の正確な境界ではなく、「その市区町村のどこかに指定区域がある」ことを示す概況です。市区町村の行政界を破線・低い不透明度で表示しています。実際の区域は市区町村内の一部に限られ、正確な境界はクリックで出るポップアップのリンク先(各都道府県のPDF地図)でご確認ください。
また、この区域は、津波浸水想定(ハザードマップの浸水の深さ)とは根拠となる法律や指定する主体が異なる、別の制度です。両方を重ねて見ていただくことをお勧めします。

太平洋側の各地を見渡す
以下は、各地域の津波リスクについての一般的な概説です。指定の有無や範囲は自治体ごとに異なりますので、お住まいの地域や気になる地域は、地図でご確認ください。
東北〜関東(三陸・福島・茨城・房総)
2011年の東日本大震災で、大きな津波被害を受けた地域です。三陸沿岸は、リアス式海岸の入り江の奥で津波が高くなりやすいことが知られています。復興の過程で高台移転や防潮堤の整備が進みましたが、その後も、想定の見直しや区域の指定が各県で続けられています。茨城・千葉(房総)の太平洋沿岸も、津波への備えが進められている地域です。

首都圏〜相模湾・伊豆
人口が集中する首都圏の沿岸は、津波の高さそのものに加えて、避難する人の数が多いことが課題と考えられます。鎌倉・藤沢などの相模湾沿いは、海岸と市街地が近く、避難先までの距離が短くない場所もあります。
なお、この地図で着色されているのは、相模湾沿いの神奈川県の市町と伊豆半島です。東京湾沿岸や房総半島の沿岸に着色がないのは、調査時点(2026年10月)で、東京都・千葉県に津波災害警戒区域の指定が確認できなかったためです。着色がないことは、津波の心配がないという意味ではありません。

東海〜東南海(静岡・愛知・三重)
南海トラフ地震の震源域に近く、津波が到達するまでの時間が短いと想定される地域です。浜名湖周辺、遠州灘沿岸、伊勢湾沿岸など、広い範囲で津波への備えが求められています。
この地図で着色されているのは、愛知県の伊勢湾沿岸と、静岡県の浜名湖から遠州灘にかけての沿岸です。志摩半島を含む三重県の沿岸に着色がないのは、調査時点(2026年10月)で、津波災害警戒区域の指定が確認できなかったためです。報道によると、三重県は2026年度中に、沿岸の市町で指定する予定とされています(中日新聞、津市)。指定の有無にかかわらず、三重県の沿岸も、南海トラフ地震の津波への備えが必要な地域です。

紀伊半島〜四国(和歌山・徳島・高知)
内閣府が2012年に公表した想定では、高知県黒潮町で最大34mという津波高が示され、大きな話題になりました。紀伊半島の南部や四国の太平洋沿岸は、リアス式の地形や平地の少なさから、高台までの避難が重要になる地域です。

九州(大分・宮崎など)
もともとMAPRISEが対象としていた地域です。日向灘沿岸は、南海トラフ地震の震源域に近い地域として知られています。今回の拡大では、九州6県の既存の収録内容は、そのまま維持しています。

南海トラフは、本当に来るのでしょうか
南海トラフの巨大地震のリスクは、ここ30年以上にわたって繰り返し言われてきました。それでも、いまだに来ません。正直に言えば、「本当は来ないのではないか」と思ってしまう瞬間が、私たちにもあります。
ただ、地球の長い歴史のなかでは、30年はまばたきにも入らないほどの短さです。政府の地震調査委員会は、2025年1月に、今後30年以内の発生確率を従来の「70〜80%」から「80%程度」に引き上げました。また、内閣府の2025年の想定では、最悪の場合の死者数は約29万8千人、経済被害は約292兆円とされています(前回2012年の想定の死者数は約32万3千人)。ひとたび起きれば、人命も、あらゆる資産も、危機に直面します。だからこそ、事前の備えや対策が必要だと思います。
「天災は忘れたころにやってくる」
「天災は忘れたころにやってくる」という有名な言葉があります。備えは、忘れかけたころに、いちばん薄くなりがちです。
国や自治体は、税金を投じて、ハザードの情報を最新のものに更新しています。想定は、調査が進むたびに見直されます。ですから、かつて見た古いハザードマップのイメージのままにせず、最新のデータに触れておくことが重要です。MAPRISEは、その確認のお手伝いができればと思っています。
限界についても、正直にお伝えします
- 本レイヤーは、市区町村単位の指定の有無を示す概況で、区域の正確な境界ではありません。
- 地図に表示されない市区町村は、調査時点で指定がないか、制度の対象外です。「安全である」ことを示すものではありません。
- 津波浸水想定とは別の制度ですので、あわせてご確認ください。
- 不動産取引時の重要事項説明(宅地建物取引業法施行規則16条の4の3)の対象ですが、最終確認は都道府県への照会が必要です。
- 各地の概説は、一般に公表されている情報にもとづく簡潔なまとめです。個別の避難計画は、お住まいの自治体のハザードマップ・防災計画をご確認ください。
おわりに
ハザードの情報は、更新されるたびに、見直す価値のあるものになります。まずは、ご自宅や職場、よく行く場所の周りを、地図で確かめてみてください。
ご意見・ご質問は info@maprise.jp までお気軽にお寄せください。
本記事の津波災害警戒区域の情報は、各都道府県が公表する資料(津波防災地域づくりに関する法律に基づく指定)をもとに、MAPRISE(Vulcanz合同会社)が市区町村単位で整理した参考情報です。区域の正確な境界を示すものではなく、各都道府県が作成・公表したものではありません。地図は国土地理院の地理院タイル等をもとにしています。
参考にした情報源
- 科学技術振興機構(JST)サイエンスポータル「南海トラフ巨大地震の被害想定(2025年)」
- 内閣府(防災担当)南海トラフ巨大地震対策
タグ: #津波 #ハザードマップ #南海トラフ #防災 #津波災害警戒区域
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